これまで、明治以降の暦の研究といえば明治改暦にまつわる研究を指していた。しかし本研究では、近代の暦の歴史を、とりわけ明治15年の神宮に頒暦の権限が一元的に集約される前後期に着目しながら、明治における神宮を頂点とする神社と宗教のヒエラルキー形成過程との関連に着目して考察を試みた。この視点で捉えることで、(1)今まで研究の俎上にすらのぼらなかった改暦以降の近代の暦の歴史が日本宗教史の中に位置づけられるとともに、(2)近代以降の暦の歴史を明治改暦をも含めた形で理解することができる。本研究では、公文書原簿による史料調査を通じて、明治以降の暦の歴史とともに、明治の宗教行政との関連性の一端も明らかにした。
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