1940年代に現れた「新興宗教」をめぐる同時代および戦後の言説を批判的に検討した上で、こうした宗教を民衆宗教と位置づけ、宗教史・文化史の主題として検討しなおすべきことを提起した。つぎにGHQの宗教調査および特高警察の宗教調査を整理して、1940年代の民衆宗教に関する目録の作成を進め、同時代の民衆宗教研究の基盤を築くことができた。また、これらの資料をもとに、総力戦期から占領期にかけての御利益志向型/世直し志向型の民衆宗教の様態や主張を分析し、40年代における民衆の政治的想像力の発現として位置づけなおすべきであると論じた。 これらの成果は、1940年代の民衆史研究に大きな貢献をなすものと考える。
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