近衞秀麿は、日本のオーケストラ史におけるパイオニア的存在で、新交響楽団(今日のNHK交響楽団)を創設し、わが国の西洋音楽の黎明期に、指揮者、作曲家、編曲家として日本の交響楽の普及、発展の基礎を確立した音楽家と位置付けられる。本研究では、これまで未整理のまま保管されてきた近衞家所蔵の近衞秀麿関連資料について、(1)所蔵資料の調査、(2)破損の激しい資料の補修・整備、(3)資料のデジタル化、(4) 近衞秀麿作曲・編曲資料目録の作成、(5)主要作品の分析、評価を行い、近衞秀麿の歴史的な意義の考察の土台を提供した。本研究を通して、音楽に対する取り組みの姿勢および彼の音楽観を明らかにすることができた。
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