研究課題/領域番号 |
26770045
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
赤塚 健太郎 成城大学, 文芸学部, 准教授 (10528821)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 音楽学 |
研究実績の概要 |
第3年度の研究では、アメリカでの資料調査を実施した。具体的には、ワシントンD. C. の議会図書館と、ニューヨークのニューヨーク公共図書館に赴き、本研究課題で調査対象となっている舞踏譜集について調査を行った。これらの資料については、これまでにも所蔵機関から取り寄せた複写によって調査は行っていたが、細部において判別困難な箇所が存在したため、現地調査ではそれらの箇所の確認を実施した。 フィギュールの対称性の分析方法については、前年度までの成果をまとめる作業を行った。この際、アメリカにおける上記の現地調査の結果も踏まえ、フィギュールの対称性の分類方法に若干の手直しが必要となっている。その点は次年度の課題として残されているものの、対称性の幾何学的特徴や時間的特徴についての区分については、いくつかの類型にパターン化されることが概ね確認された。 フィギュールの特徴の分析については、第3年度は、舞踏種ごとの振付の特徴や振付家ごとの振付の傾向を把握することを試みた。このうち、特に前者においては特徴的な傾向を示す舞踏種が確認された。しかし、その特徴については、劇場的な振付と舞踏会的な振付の差異に由来するものであって、舞踏種の特徴に帰着させるのは適当でない可能性も依然として残っている。この点について確認するため、当初の対象には入っていなかった若干の舞踏譜を考察の補助線として導入する試みに着手した。一方、振付家ごとの振付の傾向については、少なくとも対象とした舞踏譜集の間では必ずしも明確な特徴は見出されず、むしろ高い共通性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第3年度に行った資料調査の結果などを踏まえ、振付におけるフィギュールの対称性の分類方法について若干の手直しをする必要が生じている。また、これまでに確認された舞踏種ごとの振付の特徴について、劇場的な振付と舞踏会的な振付の差異に由来するものである可能性が残っており、その確認のため、当初の調査対象には入っていなかった舞踏譜も若干考察に加える必要性が認められる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最初の段階で完遂する予定であったフィギュールの対称性に関する分類方法の確定について、昨年度の調査の結果も踏まえつつ優先的に手直しを行い考察を完了する。続いて、舞踏種ごとのフィギュールの特徴について考察するのに必要な舞踏譜を絞り込み、考察を進める。その際、未調査の資料も必要になると予想されるため、適宜複写の入手や調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した資料調査の内、未実施のものが残っているため、残額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに調査対象に加える舞踏譜について、複写の取り寄せや資料調査を行うために使用する計画である。
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