本研究では、1780-1830年代のフランスの近代的都市空間に体現された時代特有の認識枠組を、「流れ」という鍵概念の下に明らかにした。具体的には、革命期からサン・シモン主義までの時代の都市構想において、「運搬・移動のための動線」や「建築物内の換気・循環」がいかに論じられたか、結果としていかなる空間が計画されたかを明らかにした。さらに、都市構想・建築理論への同時代の生命科学・化学的言説の影響が、その背景にあったことを見出した。そして、以上のような都市構想と科学的知の連関が、「労働する身体の管理」や「時間の認識と効率的な活用」という「近代的」な生権力や時間感覚に、いかに作用していたのかを解明した。
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