本研究の目的は、武家社会において「画鷹」がどのような機能を持って受容されていたのか明らかにすることにある。以下の二つを柱として研究する。 【1】画鷹の悉皆調査 鷹が描かれた絵画資料について、中世末期以降の作例が多く確認されるものの、これまで体系化はされてこなかった。そのため悉皆調査を本研究課題の最重要テーマとし、実施している。本年度は、京都国立博物館ならびに東京国立博物館、山口県立美術館等にて調査を行った。加えて中国絵画の調査にも広げ、日本における画鷹の成立について東アジア史の視点から考察することとした。そのため台北・故宮博物院において調査を行った。 【2】鷹狩との関連性 これまで17世紀における鷹狩図の流行については、感覚的に武家の鷹狩流行があると指摘されてきた。しかし、研究の結果、公家である西園寺家や勧修寺家がその流行に大きく関与していることが明らかとなった。本研究は「武家社会」をキーワードに進めているが、異なる視点から鷹狩図受容の文化史的背景の一端を解明することができた点は大きな成果である。
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