イギリス統治下のインドで植民地経済への参与で大きな成功をおさめた2つの商業カースト、マールワーリーとチェッティヤールは、故郷の集落に大邸宅を競うように建てた。本研究はその様式的変遷を通して、植民地インドのアイデンティティ変容を実体的に把握することを目指した。その結果、1920年代に反英運動が盛り上がるにつれ、イギリス製顔料や建材をボイコットして日本製品を積極的に消費して商家建築が建てられていたことがわかった。つまり、インド独立運動の活発化には、イギリス製品排斥運動とそれに連動した日本製品を消費する商業カーストの行動があると結論づけることができる。
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