研究課題/領域番号 |
26770059
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
富岡 優子 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (20508957)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 仏涅槃図 / 開善寺 / 地方性 |
研究実績の概要 |
これまで2度の産前産後休暇および育児休暇などで中断していた本課題であるが、涅槃図の総合的研究という長期的視野に立ち、九州所在の仏涅槃図の調査を行い地方性の解明に挑む最終年度の予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大のため、予定していた調査の多くは断念せざるを得なかった。予定通りにはならなかったが、新型コロナウイルス感染症の収束時期を狙い、国内の仏涅槃図5件の調査を行うことができた。 1)平成28年度に調査を行った北九州市・開善寺の仏涅槃図について、北九州市立自然史・歴史博物館の研究報告に「北九州市・開善寺仏涅槃図」と題し作品紹介を執筆した。秋に大津市歴史博物館にて展示されていた新出の盛安寺所蔵の仏涅槃図を調査を行い、今回紹介した開善寺所蔵の仏涅槃図と近似性が認められ同時代の作例であることがわかった。このような調査成果をを踏まえ、作品紹介をすることがようやく叶った。 2)仏涅槃図の図様の伝播と地方性の問題と関連して、年度末、兵庫県・常勝寺本、三重県・大樹寺本(四日市市立博物館寄託)、三重県・龍源寺本(三重県立美術館寄託)の調査がかなった。三重県の仏涅槃図については、地元の優品を真似た作品が制作されるという一端が伺われ、福岡や大分の事例と共通する点があるように思われた。涅槃図制作の地方性が示されるものと言え、今後、他事例の有無や分析が必要であり、引き続き調査分析を行っていきたい。 3)大河内智之編『浄教寺の文化財』浄教寺(2006 年)の改訂にあたり、これまでの研究成果を踏まえ、担当していた重要文化財仏涅槃図の解説の改稿を行った。 4)福岡市・称名寺の仏涅槃図の調査を行い、福岡市内でも古く鎌倉末~南北朝時代の作例とみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大のため、予定していた調査が叶わなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も新型コロナウイルス感染症拡大の影響が出ると予測されるため、これまで調査したものについての執筆作業、および福岡県内および近隣の調査を中心に行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大のため、予定どおり調査が行えなかったこと、また学会などがオンラインになったことなどから旅費および研究協力者への謝金などの支払いが予定金額より少なくなった。残額は予定していた調査などに使用したい。
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