本研究は、1960年代のソ連における有人宇宙飛行ミッションを「メディア・イベント」と捉え、そのテレビイメージの特性を、アメリカの有人宇宙飛行ミッションと比較しながら、明らかにしようとするものである。ソ連では宇宙船からの国際的なテレビ生中継がかなり早い段階から実施されていたが、それはなぜなのかという問いを出発点に、(1)生中継そのものに価値を置くプロパガンダが実施された背景及び議論過程の分析を通して、(2)ソ連の国家宣伝において宇宙船からの生中継が果たしていた役割を明確化するとともに、(3)それを「ライヴ性の文化史」のなかに位置づけることを目指した。
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