研究課題/領域番号 |
26770069
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 佐和子 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (90705435)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 映画史 / 芸術学 / 帝政期ロシア / 第一次世界大戦 / イタリア映画 |
研究実績の概要 |
本研究は、19世紀末から1920年代における無声映画の美学的形式を実証的・多角的に解明するものである。本研究では、ヨーロッパ、日本、アメリカという三つの主要な映画産業を中心に、比較映画史を新たに記述するとともに、演劇、美術、音楽、文学といった隣接する諸芸術と映画の多様なかかわりを捉え直すことを実践している。また、同時代に勃発した第一次世界大戦を通じて、産業・社会・技術の変革の観点から、芸術としての映画を歴史的・包括的に記述していくことも目指している。 本年度は、研究計画に即して帝政期のロシア映画研究に重点をおいた。また、第一次世界大戦百周年を記念する学術事業への参加にも力を入れた。成果は以下の通りである。(1)本年度の研究計画にもとづく成果として論文「映画と視覚芸術―帝政期ロシア映画形式の美学―」を執筆した。(2)海外の一次資料収集と映画調査のため、ボローニャ国際復元映画祭に参加した。本映画祭では、とりわけ100年前の映画特集に注目し、1914年製作のイタリア映画『カビリア』のオーケストラ付きの復元上映に参加した。本上映の調査をもとに、論文「ダンヌンツィオと第一次世界大戦期のイタリア無声映画」を執筆した。国内に関しては、東京国立近代美術館フィルムセンターおよび早稲田大学演劇博物館にて調査を行った。(3)ルール大学ボーフム(ドイツ)およびルーヴァン大学(ベルギー)にて、第一次世界大戦と日本映画に関する報告を行った。(4)京都文化博物館およびベルリンの映画館「バビロン」にて第一次世界大戦と無声映画に関する特集上映およびレクチャーを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外の映画祭において資料調査を実施し、多くの映画フィルムおよび一次史料を発見すると共に、その成果の一部を論文として執筆することができ、国内外で複数の研究報告も行うことができたため、研究は順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き海外での資料調査を行い、かつ映画祭に参加し、無声期のヨーロッパ映画の試写および一次史料を収集する予定である。また、その成果にもとづき論文の執筆を行うと共に、それを研究書として公刊する準備を進めていきたい。
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