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2015 年度 実施状況報告書

創造と税制―舞台芸術におけるクリエイティブ・ボックス制度構築に向けた国際理論研究

研究課題

研究課題/領域番号 26770070
研究機関獨協大学

研究代表者

秋野 有紀  獨協大学, 外国語学部, 専任講師 (30708590)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード文化政策 / 芸術税制 / ドイツ / EU / 軽減税率 / 創造活動支援 / 舞台芸術 / 著作権
研究実績の概要

本研究は,日本の地方自治体が1970年代,80年代に整備してきた文化ホールを創造活動の拠点に転換していくにはいかなる制度設計が必要か,という近年の日本での議論を背景としている。

このような文脈において,本研究ではとりわけ舞台芸術に焦点を当てドイツを参照する。本年度はKlein,Knueselらの先行研究をもとに,ドイツの舞台芸術が近年直面している課題と,その背景にある制度上の問題を抽出した。

また,欧州における芸術に対する軽減税率と著作権,TTIPに関する一連の議論を分析した。軽減税率についても,著作権に関しても,有形の芸術作品についての資料は多いが,舞台芸術に関しては,まだあまり研究が蓄積されていない。だが,軽減税率をめぐる議論に関しては,グローバル化と自由貿易を推進する文脈を背景に,軽減税率適用によるチケット料金を通じた観客への間接的な優遇の効果如何よりは,自治体や政府による劇場への助成や振興そのものの保護主義的傾向が議論される傾向にあることなどが具体的に明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,①ドイツの舞台芸術制度の近年の課題の抽出,②TTIPにおける議論の分析を主に行った。その際、とりわけ前年度から引き続き研究している点のひとつである消費者(観客)と生産者(脚本家や劇場)それぞれに対するメリット・デメリットを分析することを試みた。生産者(劇場)に関しては,各国間において助成金が競争を妨げるという一般的な議論が手がかりとなり,脚本家に関しては一般的な著作権の議論も手がかりとなった。しかし,軽減税率が観客に対していかなるメリットをどの程度の規模で提供するのか,あるいは業界団体への優遇措置にとどまるのか,という点については,今後の分析課題として残った。

今後の研究の推進方策

次年度も消費者と生産者を大まかに分けて,制度の分析をさらに深めていく(とりわけ消費者・観客に対する制度の効果について,資料やデータが少ないため,この点を重点的に明らかにしていくことが目標となる)。その際,これまでの文献研究・分析で課題として本年度までに残っている論点について,現地でまとめて聞き取り調査などを行い,明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

欧州での調査を次年度に移動し,資料整理のための人件費は,次年度に多めに必要となる見込みから,本年度の費用が予定よりは低く抑えられたため。

次年度使用額の使用計画

主に資料整理,欧州域内でのヒアリング調査と旅費,書籍購入費に使用することを計画している。

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公開日: 2017-01-06  

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