研究課題/領域番号 |
26770074
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
平澤 剛 明治学院大学, 文学部, 研究員 (00573792)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 映画史 / 前衛芸術史 |
研究実績の概要 |
本研究は、1960~70年代を中心とする日本前衛映画を作家・作品研究にとどまらず、同時代の批評や上映形態などの受容、近年に至る国内外の研究動向を幅広く調査し、理論的、歴史的に分析するとともに、他分野の研究者に協力を要請し、既存の学問的枠組では検証が難しかった日本前衛映画に関する領域横断的な研究の新しい形態を提起・発展することを目的とする。本年度は、国内の作品調査を中心に、オリジナルネガ、上映プリント、デジタル素材の状態の把握やリスト化を行い、研究の基盤作りにつとめた。また、国内外の多ジャンルの研究者、批評家、キュレーター、アーキビストと共同してシンポジウムやワークショップを開催し、理論的、歴史的な考察を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の作品調査を中心に、資料収集、理論の分析などをおおむね予定通り行うことができた。また、映画以外の写真、美術、音楽、演劇、あるいは社会学、都市学などの研究者と共同し、シンポジウムやワークショップを通じて、横断的な研究の方法論を模索することができた。あわせて研究協力者との共同によって、イギリス、フランス、オランダ、アメリカでの調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
国内においては、資料収集、作品調査を継続する。アメリカ、フランス、イギリス、オランダ、ドイツなどのシネマテーク、美術館、アーカイブで調査を行い、同じくリストを作成する。 足立正生(映画監督)、宮井陸郎(映像作家)、飯村隆彦(映像作家)などに当時の活動について、アメリカ、フランスなどのキュレーター、批評家、アーキビストに、同じく当時の日本前衛映画の上映の歴史について聞き取りを行う。 同時代の批評、および国内外の研究を、欧米の前衛映画理論や批評と比較しながら、理論的、歴史的に分析し、世界前衛映画史、前衛芸術史における歴史的位置づけを明らかにする。 戦後前衛映画を主題とした国際シンポジウムを明治学院大学で開催し、それに前後して、パリ第三大学、ニューヨーク大学、写真美術館で関連のワークショップを開催する。また研究発表だけでなく、資料・作品の調査結果をリストにまとめて刊行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内における調査、研究の計画は予定通りに進行したが、多くの映画素材の保存状態が悪く、予想以上に劣化が進んでいたことが判明したため、プリントやネガの状態の確認とリスト作成に重点を置いた。そのため作品の修復、保存などの実作業のスケジュールに変更が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度の調査成果を踏まえて、本年度より作品の修復、保存などに本格的に取り組んでいく。
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