研究課題/領域番号 |
26770084
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
一戸 渉 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 准教授 (20597736)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 和学・国学 / 有職故実 / 近世文学 / 近世学芸史 / 橋本経亮 / 藤貞幹 / 好古 |
研究実績の概要 |
当該年度には慶應義塾図書館の所蔵する『香果遺珍』に含まれる約一千二百点の橋本経亮旧蔵資料の目録化作業をおおむね完了した。これにより次年度以降、図書館側と相談しつつ、資料の公開と目録の刊行に向けた作業を進めてゆく目途をつけることができた。また当該研究課題と関連して、近世期の好古文化を主題とした展覧会(平成28年度センチュリー文化財団寄託品展覧会「描かれた古―近世日本の好古と書物出版―」)を企画し、学内外へのアウトリーチ活動に努めた。当該展示企画に関わる研究成果の一端は、当該展覧会に際して作成したリーフレットでの解説という形で公表した。さらに、『斯道文庫論集』第五十一輯に掲載した論文「藤貞幹『寛政元年東遊日録』について―附・慶應義塾図書館蔵本翻印―」では、橋本経亮の和学上の先導者にあたる藤貞幹が寛政元年に江戸に下った折に出会った人物や、見聞した典籍や古筆などについて『寛政元年東遊日録』という資料に即して考証し、貞幹自筆本の謄写本である慶應義塾図書館蔵本に基づく翻印を付した。この『寛政元年東遊日録』には杉田玄白や柴野栗山、立原翠軒などの人物、安倍小水麿願経や伝公任筆太田切本和漢朗詠集、南宋版『春秋毅梁伝』、下総本『和名類聚抄』等の典籍・古筆が登場し、もってこの時期の貞幹による資料調査活動の質の高さと、人脈の幅広さが明らかとなった。当該年度内に文献資料調査を行った主な機関は下記の通りである。福井市立郷土歴史博物館・金沢市立玉川図書館近世史料館・静嘉堂文庫・西尾市立岩瀬文庫・天理大学附属天理図書館・富山市立図書館本館。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度からの課題であった『香果遺珍』の目録の作成作業が概ね完了したことによる。
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今後の研究の推進方策 |
先述した通り、『香果遺珍』の目録化作業はおおむね完了したことから、今後はより情報の精度を高めるために、関連資料の収集や、個々の資料的意義についての研究を進め、最終年度として、全体の総括を行う予定である。また、『香果遺珍』については図書館側と相談しつつ、資料の公開と目録の刊行に向けた作業を進めてゆく予定である。
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