最終年度である平成29年度には、昨年度に製作した慶應義塾図書館所蔵『香果遺珍』(橋本経亮旧蔵)の目録の精度向上をはかるべく、再度の確認作業を行うと共に、関連資料の収集・精読を行った。以上の作業を通じて目録の最終データを確定させ、慶應義塾図書館へと目録データの提供を行った。なお図書館側のスケジュールの関係で、目録の刊行及び閲覧公開は、次年度以降となる予定である。本年度中に発表した主な業績としては以下のものがある。平成29年7月23日に国立歴史民俗博物館で開催された共同研究「『聆涛閣集古帖』の総合資料学的研究」第1回研究会での口頭発表「近世好古図譜研究の諸前提」では、橋本経亮も含め近世期の人々が製作した好古図譜類に焦点を当て、その製作過程や、再評価への道筋について論じた。河野貴美子他編『日本「文」学史 第二冊 A New History of Japanese “Letterature” Vol.2 「文」と人びと―継承と断絶』(勉誠出版・平成29年6月)に分担執筆した「和学」項では、経亮らによる学問的営為を俯瞰的に論じたものである。『斯道文庫論集』第52輯(平成30年2月)に掲載した単著論文「大師流と入木道書―架蔵岡本保考宛妙法院宮真仁法親王書状小考」では、経亮と接点を持つ大師流の能書岡本保考に関する新資料を紹介した。当該年度内に文献資料調査を行った主な機関は下記の通りである。国立国会図書館・東京大学史料編纂所・東京大学総合図書館・東京都立中央図書館・筑波大学附属図書館・国立歴史民俗博物館・天理大学附属天理図書館・金沢市立玉川図書館近世史料館。
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