研究課題/領域番号 |
26770087
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
大津 直子 國學院大學, 教育開発推進機構, 助教 (40551031)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 谷崎源氏 / 源氏物語 / 谷崎潤一郎 / 校本 / 草稿 / 「蛍」巻 |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究終了の後も継続的に作業を進める『谷崎源氏新訳草稿』校本のための、凡例と試案を作成した。『谷崎源氏新訳草稿』は6種類ある。本試案では、どの書き入れがどう『新訳』の本文へと反映されたかが一目でわかるよう、推敲異文も含めた書き入れを出来うる限り全て文字に起こした。 書き入れの内容は、古典文法から有職故実に至るまで多岐にわたる。谷崎潤一郎と彼の作品とは近代文学研究の対象であるが、谷崎源氏は平安文学研究の対象ともなりうる。加えて、出版の規模、検閲を含めた戦前戦後という当時の社会からの影響など、歴史学、社会学、出版史などからのアプローチも必要である。谷崎源氏研究に関しては、相互補完的な学術交流が求められるのである。学際的な研究において、簡便に基礎データを入手できる環境づくりは不可欠である。本試案をもって、國學院大學蔵『新訳』草稿研究の第一歩とし、谷崎源氏研究全体の活性化を促したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記校本の凡例が完成し、本研究が完了した後も継続的に作業を進めてゆく目途がたちつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で作成した凡例と、作業の知見とを活かして、別の巻の試案作成に着手する。具体的には、戦前のタブーとされた禁忌三箇条に関わる巻、「賢木」や「若紫」の校本試案の作成計画に着手したい。これらの巻の書入に関しては、社会的なインパクトも大きいと思量される。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度やる予定であった研究会、打ち合わせが次年度に繰り越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度の成果は、大学の紀要にて公開済みであるが、紙幅の都合上一部しか掲載できていない。 本年度は人件費は最小限に抑え、アウトリーチ活動を含む成果の周知、徹底のための広報活動に科研費を使用したい。
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