1年目(平成26年度)は本研究課題に関する一定の成果を上げることができた。主な成果としては、平成25年12月に行った研究発表の内容を加筆修正した論文が、平成27年1月発行の『英文学研究 支部統合号』(日本英文学会)に掲載された。さらに、この論考をふまえた内容の研究発表を、平成26年10月に日本ウィリアム・フォークナー協会全国大会で行った。この内容については、現在、論文のかたちにまとめているところである。申請当初計画していた現地での史料調査は該当史料のデジタル化で不要となったため、予定を変更して平成26年11月にミシシッピ州およびテネシー州において10日間の現地調査を行った。この調査では、オクスフォード、トゥペロ、ジャクソン、ナチェス、そしてメンフィスなどで有意義な資料収集を行うことができた。また1年目は、前述の現地調査だけでなく所属学会の例会や年次大会にも出席し、本研究課題に必ずしも直結しない異分野や場所からも多くの示唆を得た。特に、平成26年6月にアメリカ学会年次大会のために訪れた沖縄では、期せずして沖縄社会における家系図(家譜)の継承の重要性および記憶を記録することの意義を学ぶことができ、本研究の系譜に関する考察の視野を広げることができた。これらの現地調査や学会出張を通して、色々なところを実際に訪れてみることの大切さを改めて感じた。年間を通じては、研究環境を整えたり、国内外の文献を定期的に探索・入手・分析したりすることで、本研究課題に関する考察をさらに深めるよう努めた。
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