研究課題/領域番号 |
26770099
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
吉野 由起 三重大学, 人文学部, 准教授 (90707291)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ロマン派期イギリス文学 / ヨーロッパにおけるフォーク・リヴァイヴァル / スコットランド文学・文化 / ウォルター・スコット / ジェイムズ・ホッグ / 叙事詩 |
研究実績の概要 |
本年度は3年間の研究期間の1年目にあたり、(1)ロマン派期イギリスおよびスコットランド文学、芸術運動(2)ロマン派期ヨーロッパにおいて展開したとされるフォーク・リヴァイヴァル(3)特にウォルター・スコットに関連する一次資料、二次資料の収集、読解分析と評価を行った。9月に渡英し、スコットランド国立図書館・大英図書館・オックスフォード大学ボドリアン図書館で資料収集を行う予定であったが、9月にスコットランド独立をめぐる国民投票が行われ、スコットランド文学・文化に関する資料が国内外で多数刊行され国内での研究会も活発であったため、海外調査は次年度に延期し、(海外調査用の費用も次年度に繰り越し手続きを行った)本年度は国内を拠点に資料収集・分析・研究会における情報収集と意見交換に専心した。
本年度の研究成果は、以下の通りである(1)スコットの叙事詩に関する論文を執筆をすすめ、2015年5月に査読付き学会誌に投稿予定である。(2)ホッグの叙事詩に関する招待発表の打診を受け、発表原稿の準備を始め、2015年7月に口頭発表予定である。(3)2014年12月発行された、日本カレドニア学会Newsletter52号に、19世紀イギリス諸島における妖精譚の通史を踏まえたスコット・ホッグの作品の位置付けに関する記事(「ロマン派期スコットランドの妖精譚:ウォルター・スコット『最後の吟遊詩人の歌』とジェイムズ・ホッグ『女王の祝祭』」900字)を執筆、掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はロマン派期ヨーロッパにおけるフォーク・リヴァイヴァル、スコットランド文学をはじめとする資料収集が予定以上に進んだ。その為読解分析・評価に予定以上の時間を要しており、イギリスでの資料収集は次年度2015年度に延期・関連予算繰り越しを行ったものの、成果として2015年5月査読付き学会誌に投稿予定の論文1篇、7月予定の口頭発表(招待講演)の執筆が順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
ロマン派期イギリスにおいて、(A)近代に鋭く反応しつつ「前近代」「超自然」的な主題に強い関心をもったワーズワース、コールリッジ(B)フォーク・リヴァイヴァルに異なる時期・次元で関わった文人(スコット、ホッグ)と黎明期の文化人類学者(J.G.フレイザー、アンドリュー・ラング)の著作上の関連・比較検証にも視野を拡げていく。そのうえで、スコット・ホッグら文人たちによる、文学・物語のよりミクロな次元に通底するフォーク・リヴァイヴァルの実態を個別の作品に基づき緻密に検証し、彼らが「前近代的」と捉えたと考えられるジャンル、モチーフの「叙事詩」、「妖精」の意義を問い直す。
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次年度使用額が生じた理由 |
9月に行われたスコットランド国民投票を巡り、スコットランド文学・文化に関する資料の刊行が例年を上回る点数で行われた。もとより文学に関連する資料は出版部数が決して多くはない事情に加え、スコットランド文学関連の資料は入手困難になるケースが多い為、本年度は資料収集、読解分析・評価に専心した。そのため、渡英して行う予定であった図書館における資料収集は次年度に延期した。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度行う予定であったイギリスにおける資料収集・調査(スコットランド国立図書館、大英図書館、オックスフォード大学ボドリアン図書館)を8月下旬に行う。
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