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2014 年度 実施状況報告書

後期モダニズム文学・文化における越境性ならびに集団性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26770107
研究機関津田塾大学

研究代表者

秦 邦生  津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (00459306)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードモダニズム / 後期モダニズム / ユートピア / ディストピア / インターテクスト性 / トランスナショナル
研究実績の概要

本研究は、1930年代の英文学を中心に「後期モダニズム」の概念を多角的に再検討することで、従来の文学史・文化史観を「後期帝国主義」の文脈から修正することを目的とするものである。この研究計画の初年度にあたる2014年度は、資料収集と分析に重点を置いたが、研究の比較的はやい段階で幸いにも口頭発表をおこなう機会を得て、2つの事例研究に関して、議論の枠組みの整理と問題意識の明確化を進めることができた。
まず第一に、作家ジョージ・オーウェルのユートピア観と、彼の帝国主義批判との関係を調査し、オーウェルの著名なディストピア小説『1984年』の再解釈を試みた。この研究の中間報告として2014年6月にユートピア文学に関するシンポジウムにて口頭発表をおこなった。また、この研究と並行して、作家ウィンダム・ルイスと、南アフリカ出身の作家ウィリアム・プルーマーとのこれまで注目されてこなかったインターテクスト的関係についての調査を行った。これについては、ロンドンで開かれた国際学会にて口頭発表をおこない、専門家との意見交換をおこなった。
この2つの事例研究の両者ともに、「後期帝国主義」期のイギリスを一つの焦点とした文学的表現の越境的ネットワークの拡大という全体の議論を例証するものである。これらの口頭発表終了後も資料のさらなる収集と分析を重ね、研究計画全体における位置づけの明確化を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に計画した2つの事例研究について、どちらも機会を得て一方について国内学会で、他方については国際学会での口頭発表を行うことができたため、研究計画はおおむね順調に進展している。口頭発表の終了後も、事例研究をより広い視野から「後期モダニズム」の展開に位置づけることで、議論の深化を行うことができた。次年度以降、さらに議論を洗練して活字での発表を検討している。

今後の研究の推進方策

初年度におこなった二つの事例研究については、「後期モダニズム」の枠組みとの関係性をさらに明確化して、論文化を検討中である。今後はさらに、後期帝国主義期のイギリス文学における「集団性」意識の発展を、文学ならびに文化表象を題材に論証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

この額については、1930年代の定期刊行物を研究の一次資料として入手するための物品費として使用予定であったが、海外の古書店に発注後、輸送時の事故により現物が破損し、先方の都合で注文が、キャンセルとなった。そのため、その額を当該年度中に支出することがかなわなかった。

次年度使用額の使用計画

当初入手予定であった定期刊行物を提供しうる別の古書店をはやいうちに発見し、見つけ次第それを発注し、物品費として支出する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] The Late-Modernist Mishmash: Transnational Intertextuality and Hybridization in Wyndham Lewis and William Plomer2014

    • 著者名/発表者名
      Kunio Shin
    • 学会等名
      British Association for Modernist Studies
    • 発表場所
      Senate House, University of London
    • 年月日
      2014-06-27 – 2014-06-27
  • [学会発表] 「黄金郷」の向こう側――『1984年』におけるディストピア空間のスタイル2014

    • 著者名/発表者名
      秦 邦生
    • 学会等名
      日本英文学会関東支部
    • 発表場所
      成城大学
    • 年月日
      2014-06-21 – 2014-06-21

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公開日: 2016-06-01  

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