最終年の計画として、サードウェーブ・フェミニズムの文脈に、オコナーを再付置するという活動を行った。とりわけ、オコナーが女性読者や女性作家たちとの交流の中で、一見したところ、女性の連帯を蒸しているようにみえる批評的解釈の系譜に対して、懐疑的な立場から議論を進めた。 そのキーワードとして、冷戦期ポピュラーカルチャーにおける女性の身体を想定した。これにより、アメリカン・コミックのキャラクター「ワンダー・ウーマン」の調査を行った。 ドキュメンタリー映画であり、ワンダー・ウーマンがどのように女性のみならず人々を勇気付けてきたかを学問的考察とともに取り扱った「Wonder Women ! Untold Stories of American Superheroins」を分析しつつ、広く議論を募るために、アメリカのインディーズ作品でアメリカ国内しか流通していないものについて、Cultural Typhoonにおいて、討論会を行った。研究協力者として、白百合女子大学の助教 大塩真夕美がコメンテーターをつとめ、グロリア・スタイネムの時代的な存在感と現代における批評的意味合いについて検討した。 オコナーが、アイオワ大学の創作コース出身であることから、クリエイティブ・ライティングの制度史研究が注目されるようになったなかで、オコナーの語りのスタイルに関する示唆(新批評の伝統的な構造と、自らにむけた批評的視線の交差)に大きな刺激をうけ、オコナーの語りに、女性が知の伝統にふれるときに抱え込む矛盾を説明する方策を練った。それを、アメリカ文学会東京支部において2018年1月に発表、3月には、英語での発表をICSSHカンファレンスにて行った。
|