1839年の銀盤写真の登場が19世紀前半のアメリカ文学に与えた影響について研究した。2度の米国での資料調査では、当時の銀盤写真に関する反応を明らかにするため、新聞、雑誌、写真などを広く調査した。新たな歴史的資料を発見することができた調査の成果を、3本の論文にまとめた。1840年代のフィラデルフィアにおける銀盤写真家、肖像画家と作家との関係を分析した論文では、写真が直接登場しない作品においても、写真というこの新たな表現媒体が暗示的に示され、その影響を読みとることができる点を指摘した。新たな作品の読み方を提示すると同時に、視覚芸術と文学ジャンルの連動性を提示した。
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