研究課題/領域番号 |
26770111
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
日高 真帆 京都女子大学, 文学部, 准教授 (90407619)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 演劇 / 比較文学 / 比較文化 |
研究実績の概要 |
平成26年度はワイルドの受容研究の成果を纏め、以下の研究論文及び研究発表の形で成果発表を行った。まず、6月11日から6月15日までパリで開催された国際ワイルド学会 “Wilde Days in Paris 2014” に参加して研究発表を行い、世界各国からのワイルド研究者らと議論を深めた。本学会は、フランスのオスカー・ワイルド協会が中心となって運営した国際ワイルド学会であり、ワイルドやアイルランド文学の研究を深める上で極めて貴重な機会となった。発表題目は “Wilde Streams and Their Expansion in Japan” であった。本研究発表に於いては、日本でワイルドが受容されるに至った多様な経路について調査した研究成果を発表した。 また、谷崎潤一郎によるワイルド受容について英語論文 “Portraits on the Human Body: Japanese Adaptations of Oscar Wilde by Junichiro Tanizaki” を執筆し、英国オスカー・ワイルド協会の学会誌である The Wildean: A Journal of Oscar Wilde Studies に掲載された。本論文では、ワイルドの喜劇作品の翻訳も行った谷崎の作品とワイルド作品との比較考察を行い、谷崎によるワイルド受容の特徴と彼の独自性ついて議論を深めた。 本研究課題については以上の取り組みを始めとして年間を通して調査研究や資料収集を進めた。国際学会での研究発表及び海外の学会誌上に於いて研究成果を発表し、戯曲や演劇人のみならず演劇と関連性の深い作家や作品の研究を通して明治・大正時代の日欧演劇交流の一角を明らかにできたことは非常に有意義であり、引き続き調査研究を進める上でも得るものが多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
明治・大正時代に該当する19世紀末前後の時期に発表されたイギリス・アイルランド演劇の内、同時代に日本に移入された作品について具体的に調査研究を進めることができた。また、その研究成果を国際学会及び海外のワイルド専門誌上にて発表できたことは研究が順調に進んでいることを示すものである。 研究対象が広い故に広汎な調査が行えていない部分もあるが、想定範囲内であり、おおむね経過は順調であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に得られた成果を基にして、引き続き調査研究や研究論文の執筆を進める。平成26年度の研究対象の多くは、継続的研究を必要とするものであるため、今後も調査を続行することとする。具体的には、19世紀末前後の時期に発表されたイギリス・アイルランド演劇の内、同時代に日本に移入された作品に関して緻密な資料調査を進める。その際、演劇雑誌や新聞各紙を始めとする関連資料を調査し、分析を進める。 また、国内外に於ける関連分野の研究の最新動向の確認も随時行い、関連研究資料の収集も進める。そのためにも、国内外の関連学会に積極的に参加して研究発表やディスカッションを重ねる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主として図書費を使用しなかったが、平成26年度は図書館の資料を多く活用したため、図書を購入せずに研究を進めることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
図書購入費や研究成果発表に際する印刷費等が必要となる予定である。
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