本研究は、21世紀アメリカでベストセラーを記録したマーク・トウェインの自伝『マーク・トウェイン 完全なる自伝』のとくに第1巻を取り上げて、なぜベストセラーとなったのか、21世紀の社会はトウェインの自伝になにを求めていたのか、明らかにするものである。 結果、Amazonの同書に寄せられた400件ちかいレヴューなどの分析を通して、同書がトウェインの個人的な自伝としてではなく、トウェインの目を通して見た19世紀社会を描いた書籍として受け入れられていた点を明らかにした。このように受け止められた理由として、同書が筆記ではなく、口述筆記によって執筆されていた点を指摘し、その背景と意義についても考察を加えた。
|