研究課題/領域番号 |
26770117
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内藤 真奈 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (00727399)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フランス文学 / アメリカ文学 / エイズ / 病気文学 / 自伝文学 |
研究実績の概要 |
本年度は、平成26年度から引き続き収集作品の分析を行った。 前年度に収集した映像資料におけるエイズイメージの分析をほぼ終了した。その分析結果を基に、エイズを描いた自伝的作品および小説作品と、それらの作品を原作とした映画との比較研究を行い、表現媒体の変化により、イメージ創造にどのような差異が生まれるかについて考察した。当研究の成果は東京大学仏語仏文学研究会が発行する『仏語仏文学研究』に、論文「エイズ表象をめぐるテクストと映画の関係」として発表した。 前年度から継続している文学作品の個別分析と、本年度に予定していた総合分析を同時に遂行した。フランスで発表されたエイズ文学作品のうち、主要な作品を対象とした分析を基に、病気が流行初期(1980~1990年代)にどのように文学イメージとして形成されたかというテーマで、フランス語フランス文学会秋季大会において研究発表を行った。他の研究者と「文学における病気」という研究テーマの可能性について話し合う場を持つことができたのは、大きな成果である。この発表を基に、論文を執筆し、学会誌に寄稿した。 また、パリ第8大学で行われたエルヴェ・ギベールの写真作品をテーマとする学会に参加し、欧米各国(フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、アメリカ、カナダ)で活動する研究者の考察を聞くとともに、意見交換を行うことができたのは貴重な成果である。また、現地の図書館、アーカイブ等でさらなる資料収集をする機会にも恵まれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主たる研究対象であるエイズ文学作品の点数が、当初の予定を超えて収集することができたため、その分析に予定以上の時間が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、エイズ文学作品から視覚的イメージを抽出し解析する個別分析と、個別分析結果を映像資料の分析結果と比較対照する総合分析の作業を行う予定である。総合分析で得られた結果を体系的にまとめ、芸術作品に見られるエイズイメージ分析の枠組みを構築する。さらに、この枠組みがをエイズに先立ち芸術作品に扱われてきた病気(梅毒、結核、白血病、癌など)の分析に応用できるか検討する。 前年度に予定していた、研究成果を基にした外国語論文の執筆・発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
収集資料分析が遅延した結果、補助事業期間延長を申請した。これにより、今年度予定していた外国語論文執筆の計画を変更し、次年度、全ての資料を分析した成果を基に執筆し発表を行うこととしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は外国語論文の校正費、発表にかかる通信費および印刷費等に使用する予定である。
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