シュテファン・ツヴァイクに代表されるウィーンの作家は、ベルギーの象徴主義作家としばしば直接交流を持っていたことでベルギーの多言語多文化的状況に通じていた。作家自らによるドイツ語への翻訳は、ベルギーの作家のドイツ語圏における知名度の向上に寄与しただけでなく、作家自身の詩作にも少なからぬ影響を及ぼしていた。また、象徴主義を受容した時代のスロヴェニアの作家たちは、当時彼らの首都であったウィーンで象徴主義に触れており、ウィーンという場がスロヴェニア近代文学の発展において重要な役割を果たしていたことが明らかになった。
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