研究課題
研究期間(3年間)全体の計画はグリム兄弟の協同のあり方を探るものであった。特に後半の2年間は法制史家として出発したグリム兄弟が法への関心をいかにして『メルヘン自注』内の法への関心と結びつけているか、さらに言えば、ヤーコプ・グリムの『法律故事誌』と、『メルヒェン集』の主たる作業者であったヴィルヘルム・グリムの「協同」の形を具体的に示すことにあった。その研究成果の1部はすでに『日本ジェンダー研究』18号(2015年)に巻頭論文として発表しているが、第3年度には続く成果を招待講演において披露した(神戸大学「「近代〈神話学〉と発展と〈神話〉機能の展開」プロジェクト」、2017年2月)。現在は、これをさらに発展させて論文にしたものを執筆中である。そのなかには保留していた課題であるヤーコプ・グリムによるバジーレ受容とヴィルヘルム・グリムによるペロー受容の比較検討も含まれている。また、共にグリム兄弟の「協同」のあり方を問う別の論文を2本執筆した。ひとつは日本語の論集『昔話とジェンダー 野口芳子退職記念論集』(仮題)に収録される。もうひとつは2015年に参加した国際独文学会(独文学の分野でもっとも権威的な学会)でのドイツ語発表を論文にしたものであり、ドイツ語の共著論集に収録される。この二つの書籍は2017年内に刊行予定である。さらに、これまでの研究の蓄積が評価されて、現在もっとも権威的なグリム研究者と言えるハインツ・レレケの論文をドイツ語から翻訳し、かつ解説論文を執筆する機会にめぐまれた(前述の日本語論集に併録、2017年)。加えて、本研究計画3年間のステップアップとして科研費(若手研究B)に新たに応募し、採択された。第3年度には国際学会での発表も予定していたが、これは参加を見送ったため、助成金の一部を返還している。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Akten des XIII. Internationalen Germanistenkongresses Shanghai 2015; Germanistik zwischen Tradition und Innovation
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
グリムと表象文化 モティーフの変遷と家族のかたち(仮)
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