研究実績の概要 |
1.最終年度は以下の研究活動を行った。 (1)これまでに行った調査の結果をまとめ、更に現地調査を行って情報を補充しつつ、マルドリュスの生涯及び活動の全容を解明する論文を執筆した。(2)(1)の論文が掲載される予定のカタログの編集作業を行った。(3)『千一夜物語』関連の研究として、『千一日物語』の著者ぺティス・ド・ラ・クロワに関する調査を行った。同名の別人物による作品が、彼の作品とされていることも多いことから、フランス国立図書館所蔵のド・ラ・クロワと同世代に活躍していた書誌学者Abbe Philippe Drouynが執筆した未発表の手稿『ぺティス・ド・ラ・クロワの主要著書カタログ』を校訂し、発表した。(4)マルドリュスと同世代のフランス文化についての研究の一環として、「コンサート企画 音楽の旅Vol.4―ショパンとドビュッシー・所縁の地を巡って―」の監修及びプログラムノートの執筆を行った。 2.「マルドリュス遺贈コレクション」の利用およびフランス国立図書館等の現地調査によって、新たな情報を加えたマルドリュスの全体像と、彼が近代仏文学・仏文化に与えた影響が明らかになり、これまで評価が低かったマルドリュス版『千一夜物語』、及び『千一夜物語』以外の作品を含む彼の活動の重要性を証明することができた。この成果は、マルドリュスの生誕150周年にあたる2018年度中に、"Catalogue de Fonds Josephe-Charles Mardrus, traducteur des Mille et une Nuits"(仮題)として、フランスの出版社より出版予定である。
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