研究課題/領域番号 |
26770137
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
海老原 志穂 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (30511266)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 記述言語学 / チベット語方言学 / アムド方言 / 西部方言 / 文法記述 / フィールドワーク / 危機言語(方言) / 証拠性 |
研究実績の概要 |
28年度は主に、a)中国におけるチベット語方言の現地調査、b)アムド方言の参照文法の執筆、c)文献および東西方言のデータを用いた比較言語学的な分析、d)口頭発表と論文の執筆・発表、の4つにまとめることができる。 a)に関しては、2016年8月、2016年12月-2017年1月に中国青海省のツェコ県および西寧市においてアムド方言の語彙、文法調査に関する現地調査を実施した。この調査に基づき、b)の参照文法の執筆、d)の論文の執筆が可能となった。さらに、これまで現地調査で収集したデータや文献のデータを用い、c)の比較言語学的な分析を進め、チベット語東西方言の共通点・相違点からチベット語の歴史的な伝播について考察し、メンバーとして参加している京都大学人文科学研究所共同研究「チベット・ヒマラヤ文明の史的展開の学際的研究」の研究会において「アムド、バルティ、その他のチベット語」と題する発表を行い、参加者ら(歴史学者、文献学者、人類学者、仏教学者等)と本テーマに関して議論を行った(2016年12月17日)。ここでの議論は29年度に刊行予定の、本課題のまとめとなる報告論文執筆にもつながる有意義なものであった。この議論も参考に29年度には成果報告の論文を執筆することとなる。d) に関しては、本課題の研究成果を国内外の学会(アジア地理言語学会、国際チベット学会、日本チベット学会等)、国内研究会において口頭発表を行い、文法現象や地理言語学的な分析、民俗語彙などについて論文の執筆・発表も複数行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた現地調査を継続して行い、東西方言およびチベット書写語の分析・比較を進め、本研究についてのおおよその展望がつかめてきた。また、その成果の一部を口頭や、論文において計画通りに発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の最終年度となる29年度には、成果のとりまとめを主に行い、本課題の報告となる論文および、アムド方言の参照文法の執筆に専念する。また、本研究の成果をもとに、現地むけの言語教材作成も進めたい。必要であれば補完的に現地調査も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度からの繰越し金が発生している他、予定していた出張の一部を他の資金にて実施したため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本課題の成果としての現地向け言語教材の作成経費に使用する予定である。
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