研究課題/領域番号 |
26770151
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
芝垣 亮介 南山大学, 外国語学部, 准教授 (70631860)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 2次述語 / 言語学 / 意味論 / 統語論 |
研究実績の概要 |
報告者は当該年度に2次述語(結果述語と描写述語)の統語論上の特性について研究した。対象言語は英語、日本語、モンゴル語であった。成果としては、各言語における2次述語の理論分析よりも、各言語の2次述語を比較することによりわかる「人間の言語における2次述語」の分析において一定の理論を打ち出すことに成功した。
先行研究では、結果述語と描写述語の意味の違いがどこから発生するかについて触れたものはなかったが、報告者はそれらの意味の違いが体系的に説明がつくことを統語論の観点から述べた。この意味上の違いは、各言語の2次述語の節の大きさ、つまり時制がその節の中に存在するかどうかで説明がつくことを発見した。具体的には、時制が2次述語の節の中に存在すれば、その時制を用いてイベントの発生のタイミングを解釈することができるが、その節の中に時制が存在しなければ、イベントの発生のタイミングの解釈は主節の時制を用いることになり、必然的に、主節の述語、つまり1時述語と同じタイミングで2次述語のイベントも起こるという解釈(描写述語の解釈)が強いられる、ということだ。
この分析にはモンゴル語の2次述語の分析が大きく影響しているのだが、モンゴル語の2次述語の分析は本科研における研究のメインテーマであり、当該年度をもって本研究が成果という形になったことを示すものであると考える。2016年度は、2014、2015年度の研究と照らし合わせ、未解決の朝鮮語の2次述語の分析を行いたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モンゴル語の分析は3年目に予定していたことであるが、結果としては2年目である当該年度にモンゴル語の分析を用いて、2次述語とは何かというテーマに一定の回答を得た。それは下に示す著書として成果を出すに至った。これは当初の予定より1年早いことになる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、理論的に未解決である朝鮮語の2次述語と、本科研の1年目のテーマであった中国語の2次述語の分析に尽力する。当該年度の研究成果は人間言語の2次述語に対する見解であるため、その分析は朝鮮語や中国語にも一定の示唆を与えるものと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた物品購入の一部が不要になり5014円を繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
インクカートリッジが不足しているので、繰越金は28年度に使用する予定である。
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