接触に起因する言語シフトが起きた場合、シフト側集団はしばしば、目標言語(TL)そのものではなく、自身の言語特徴を転移させた、或いは目標言語の一部特徴が欠落した、いわばTL2を習得する。その後、シフト側集団と目標言語集団の再接触が起きた場合は、両集団の共通言語として、TLとTL2の混合であるTL3が発生する。接触言語学では、TL3の形成に作用するメカニズムを“negotiation”と呼ぶ。本研究では、中国青海省大通県に分布する、土族語の影響を受けた漢語変種、遜譲変種(TL2)と青山変種(TL3)の言語調査を行うとともに、両変種を比較することによって“negotiation”の実態解明を進めた。
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