「姉小路式」の流れを汲む旧派のテニヲハ論書では最高傑作が『春樹顕秘増抄』とされている。しかし、著者としての有賀長伯の言語意識(テニヲハ観)から考えた場合、『春樹顕秘増抄』のみならず、『和歌八重垣』の記述をも重要視しなければならない。このように、日本文法研究史における有賀長伯の言語意識を明かにすることが本研究の研究目標である。同じ著者を持つ両書の記述を比較し、テニヲハ論研究史において最も重要な人物の一人である有賀長伯の言語意識(テニヲハ観)ことを明らかにすることにより、日本語文法研究史の断片史として当該分野に新たな成果をもたらすことができると考える。
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