研究課題/領域番号 |
26770165
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
中西 太郎 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (30613666)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | あいさつ / 言語行動 / 方言 / 定型表現 / 地域差 |
研究実績の概要 |
申請者はこれまでに、日本語の出会いのあいさつ表現について、選ばれたいくつかの地点で待遇的観点での調査・記述を行い、変化の動態を考察することで、使用実態の在り方を説明する日本語あいさつ表現の変化モデルを得た。本研究では、これまでの研究成果に加え、調査対象の地域と場面を拡大して記述調査を行い、そのデータをもとに、これまでの研究で得た日本語あいさつ表現の変化モデルを検証し、必要に応じて修正を図り、日本語あいさつ表現の変化モデルを確立することを目的とする。 本事業の研究実施計画では、平成28年度は、1、2 年目に明らかにした使用実態をもとに、各地域の変化の動態の考察を行うことを予定していた。しかし、前年度にあいさつ表現の等質性判断のために実施した、大阪と東京、東北地方(山形・宮城)の多人数アンケート調査が、変化の動態考察のためのデータ収得にも有効な手法だと判断したため、アンケートを拡大して実施し、兵庫、岡山、徳島、福岡、宮崎で多人数アンケート調査を行った。それにより、今後の考察を深化させるためのデータを取得できた。 また、場面間の定型性の検証については、予定していた定型表現使用地域の大阪、定型非定型中間地域である隠岐の島で使用実態の追加調査を行い、様々な場面間の使用表現の定型化の度合いの差の検証を行った。さらに、東北大学方言研究センターの談話収集調査に参加し、動画によるあいさつ場面記録の手法を参考にしながら、多場面のあいさつ表現談話の収集を行う調査を実施した。 これらの調査結果と、これまでに得た知見の考察結果を総合し、地域間のあいさつ表現使用実態の多様性を生む要因として、西日本と東日本、ひいては、日本全国を視野に入れたことばの様々な側面の地域差を生む、言語的発想法の地域差がある、という知見への確証を強めるに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、いまだ実態解明が十分でない、いくつかの選ばれた地域の出会いのあいさつ表現の使用実態を、待遇的観点を重視して記述し、その記述資料をもとにしてあいさつ表現変化のモデルを構築することを目的としている。 本研究の目的である、あいさつ表現変化のモデルの構築には、あいさつ表現使用実態の性格が異なる、定型的表現使用地域、非定型表現使用地域の使用実態に加え、定型非定型中間地域の使用実態と変化の方向を見極める必要がある。 平成28年度は、当初予定していた調査地域に加え、平成27年度に行うことができなかった地域のあいさつ表現使用実態の調査も予定していた。だが、研究者の所属機関変更に伴う手続きで、平成28年4月~5月までの期間に助成金が執行できず、当初、その期間に予定していた、研究の進行にとって重要な、定型非定型中間地域の十分な調査(天草諸島、奄美諸島)を実施することができなかった。また、非定型表現使用地域の使用実態についても、前年度から持ち越した地域(熊本、長崎)を残すこととなった。 その点で、現時点で得られた資料のみから構築されるあいさつ表現変化のモデルは、不完全と言わざるを得ない。以上のような点から、研究計画が遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、いまだ実態解明が十分でない、いくつかの選ばれた地域の出会いのあいさつ表現の使用実態を、待遇的観点を重視して記述し、その記述資料をもとにしてあいさつ表現変化のモデルを検証することを目的としている。 本研究の目的である、あいさつ表現変化のモデルの検証には、これまで調査データの少なかった西日本を中心に、あいさつ表現使用実態の性格が異なる、a定型的表現使用地域、b非定型表現使用地域、c定型非定型中間地域の使用実態の把握及び変化の方向を見極める必要がある。 平成29年度は、未着手であるb、cの地域(西日本)の使用実態について、調査を進める必要がある。平成28年度には、同分野の研究者との意見の交換を行うとともに、共同で調査を実施し、研究対象の拡大(あいさつ表現から言語行動へ)と深化をはかり、今後の研究協力体制を確立することができた。このようにして得た調査体制を活かし、研究協力者の助力も得て、効率的に調査を進めることで、未着手の地域の使用実態の把握を早急に進める予定である。 また調査の遅れに伴い、考察が遅れている変化の動態についても、論文執筆、研究発表などの成果の公開を通した意見交換で考察を深めることも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、いまだ実態解明が十分でない、いくつかの選ばれた地域の出会いのあいさつ表現の使用実態を、待遇的観点を重視して記述し、その記述資料をもとにしてあいさつ表現変化のモデルを検証することを目的としている。本研究の目的である、あいさつ表現変化のモデルの検証には、これまで調査データの少なかった西日本を中心に、あいさつ表現使用実態の性格が異なる、a定型的表現使用地域、b非定型表現使用地域、c定型非定型中間地域の使用実態の把握及び変化の方向を見極める必要がある。 本年度は、a定型的表現使用地域の近畿地方の使用実態のデータによる検証を行ったが、b、cの他地域(西日本)の一部の地域の使用実態調査については、未着手となっている。そのため、その調査研究旅費として計上した経費が未使用となり、次年度使用額が生じるに至った。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究では、いまだ実態解明が十分でない、いくつかの選ばれた地域の出会いのあいさつ表現の使用実態を、待遇的観点を重視して記述し、その記述資料をもとにしてあいさつ表現変化のモデルを検証することを目的としている。本研究の目的である、あいさつ表現変化のモデルの検証には、これまで調査データの少なかった西日本を中心に、あいさつ表現使用実態の性格が異なる、a定型的表現使用地域、b非定型表現使用地域、c定型非定型中間地域の使用実態の把握及び変化の方向を見極める必要がある。 平成28年度は、未着手であるb、cの地域の使用実態について、調査を進める必要があり、本年度未使用額分をそのまま、調査研究旅費として使用する予定である。
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