本研究課題は、現代英語の補文の中でも、従来あまり注目されてこなかった語が取る補文およびフレーズ表現が従える補文について、コーパスや手作業で収集した例をもとに、実証的にその実態を明らかにした。
実績の一つとして、品詞にもとづく考え方では多くのフレーズの振る舞いが説明できないこと、フレーズは品詞の束縛から解放されて柔軟に補文を従えることを明らかにした。具体例として、現代英語において have in common / take turns といったフレーズが取る補文の実態を明らかにした。take turns については、その歴史的な変化を考察し、Rohdenburg が提唱する「大補文推移」がフレーズ補文にも当てはまる可能性があることを指摘した。また、語が取る補文については、これまで指摘のなかった share が that節を取る実例などを発掘することができた。合わせてフレーズ補文である have in common + that節との比較検討を行い、これらの間には意味的な相違があることを明らかにすることができた。さらに 現代英語のデータの詳細な検証から、notice の原形不定詞補文について従来日本の英語教育で引き継がれてきた誤りなどを指摘することができた。
上記のような研究成果を Europhras 2014、6th Biennial International Conference of Linguistics of Contemporary English、 International Workshop on Cognitive Grammar and Usage-Based Linguistics といった国際学会や国内の研究会で発表する機会を得た。また、本研究課題の成果も含めて、単著『談話のことば2 規範からの解放』(研究社)を出版し、世に問うことができた。
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