本研究は、地方自治体の窓口における外国人窓口対応の支援プログラムを開発することを目的として行ったものである。 平成26年度は第一段階として、外国人窓口対応の実態調査、および日本人の「説明」に対する評価尺度策定を行った。具体的には、(1)外国人対応の事例、言語意識等について窓口対応担当者に調査を行い、外国人対応の実態を明らかにし、実態に即した形の外国人窓口対応のやりとりをロールプレイの手法を用いて収録した。(2)日本人の「説明」を外国人がどのような観点から評価しているかを明らかにするために、日本人から外国人に対して行った「説明」の収録データを用いて、外国人に対して印象評定調査を行った。 平成27年度は、第二段階として平成26年度に収集した会話データとインタビューデータの分析を行った。また、平成26年度に策定した日本人の「説明」に対する評価尺度については、外国人窓口対応支援プログラムを試行し、援用可能な形に整備した。具体的には、(1)平成26年度収録のロールプレイデータについて、談話分析の手法を用いて、外国人対応場面の言語行動の特徴を明らかにし、ロールプレイ後に実施した窓口対応担当者および外国人に対するインタビューデータの特徴を行った。(2)平成26年度に収集・分析して策定した日本人の「説明」に対する評価尺度を用いて、外国人窓口対応支援プログラムを5回試行し、利用しやすい形に表現、形式、提示方法等を整備した。 最終年度である平成28年度は、第三段階として、平成27年度の会話データとインタビューデータについて分析を進め、2件の研究発表を行った。また、平成27年度に援用可能な形に整備した外国人窓口対応支援プログラムを地方自治体職員向け研修で実施するとともに(1件)、地域で外国人にかかわる日本人向けの研修でも実施し(2件)、窓口対応支援にとどまらず、広く一般向けにプログラムの発信を行った。
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