本研究の目的は、大学院留学生を主たる研究の対象として、1)研究活動を促進する上で障壁となっている日本固有の学術文化および研究交流上の課題を明らかにし、2)大学院留学生および一般学生が国際共同研究を推進する上で求められる「多文化間調整能力」の向上をはかる「教育・研究支援プログラム」を開発して、3)国際比較の視点から同プログラムの分析・評価を進めることで、その総合的な知見を獲得することにある。
平成30年度は、これまでの調査や実践から開発された多文化間グループ・アプローチの理論や技法を元に、現代の日本の大学に適合した大学院留学生と一般学生を対象とする教育プログラムの実践および検証を行った。大学院留学生や一般学生の「多文化間調整能力」を向上することを目的とした教育プログラムには、多文化間グループ・アプローチを活用したディスカッション形式が有効であることが明らかになり、アメリカにおいて長年同様の教育プログラムを実践している、ミネソタ大学の担当者と本研究の成果について報告し、多文化間における共修を目的としたグループファシリテーションの理論や技法、プログラムの効果や評価について、意見交換を行った。さらに、最終年度として、研究報告会を開催し、国際教育や留学生支援を実践している他大学の研究者や担当者を招いて本科研の研究の成果について協議を行うとともに、欧米間の理論枠組みの相違点や評価手法等について検討した。
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