研究課題/領域番号 |
26770186
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研究機関 | 東京富士大学 |
研究代表者 |
小野塚 若菜 東京富士大学, 経営学部, 講師 (30574165)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 特異項目機能 / ビジネス日本語能力テスト |
研究実績の概要 |
本研究は、ビジネス日本語能力を測定するテストのテスト項目を資料とし、特定の集団の受験者に不利な結果をもたらす要因を明らかにすることを目的としたもので、平成26年度は、(1)特異項目機能(Differential Item Functioning;DIF)ならびに項目反応理論(Item Response Theory;IRT)に関する文献研究、および、(2)予備的研究として、ビジネス日本語能力テストの既存の解答データを用いた統計的DIF分析を行った。
(1)文献研究では、DIFを中心に、言語テストのみならず心理調査等のDIF分析の例から、DIF研究の意義や重要性についてまとめた。またDIFが検出されたテスト項目の例から、どのような要因によってDIFが検出されるのか、先行研究の考察をまとめた。
(2)次に、先行研究にならい、ビジネス日本語能力テストの既存の解答データ(前川2012のデータ)について、性差に基づいてDIF分析を行った。分析は、Mantel-Haenszel検定法を用い、女性の受験者を焦点集団,男性の受験者を参照集団とし,また,BJTの尺度得点のレベル分けによって4段階(J1以上,J2,J3,J4以下)に分けて各テスト項目について検定を行った。また,共通オッズ比を求め,両群の不一致度の程度を表すΔMHを算出した。 分析の結果、160項目中3項目に中程度のDIFが検出された。検出された3項目すべてにおいて、男性の受験者が有利な項目となっていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記したとおり、平成26年度は文献調査と予備的研究を計画していた。その2点については年度目標がおおむね達成できたと評価されるが、性差以外の下位集団によるDIF分析を実施するまでには至らなかった。また、平成26年度中に学会等で発表する予定であったが、DIFが検出されたテスト項目が予想よりはるかに少なく、DIFが検出されたテスト項目の内容から,原因を推察できるような一貫した傾向は見出せず,性差によるDIFの原因について同定することはできなかったため、年度内に発表することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、(1)文献研究、(2)実験テストフォームの作成、(3)実験テストの実施、(4)実験テストの結果の集計・統計処理、(5)実験テストの結果の分析、(6)学会ないし研究会ではの発表を計画している。
本年度もっとも重要となるのは、(2)(3)のDIFが検出された項目を検証してその原因を特定し、DIFの原因を取り除くかたちで改善したテスト項目を含む実験テストフォームを作成・実施することである。実験テストの実施は国内外で行う。協力機関にはすでに内諾を得ているが、できるだけ多くの受験者の協力を得たいため、引き続き協力を求めていく。
平成26年度にやや遅れが出た部分に関しては、研究協力者と連携して実験テストフォームの作成と同時に進行が可能であるため、計画の大幅な変更は行わない。 (6)については、ここまでの研究成果を2015年9月開催予定の日本言語テスト学会(中央大学)で発表したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの達成度」に記載したように、平成26年度は当初の計画にあった「研究会ないし学会での発表」を行うに至らなかったため、学会参加のために請求していた旅費に余剰が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、実験テストの実施のために国内外(国内:石川県、京都府、沖縄県等。国外:北京、大連、上海(以上、中国)、ソウル、釜山(以上、韓国)、への出張が必要となり、旅費の支出が非常に多くなることが予想される。これらの出張旅費に充てる計画である。
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