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2016 年度 実施状況報告書

乳幼児音声の音響的分析と早期外国語教育の可能性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 26770194
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

山下 友子  芝浦工業大学, 工学部, 助教 (10726334)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワード乳幼児音声
研究実績の概要

5名の日本語圏の乳幼児月齢3ヶ月および8ヶ月と養育者との日常生活における音声と、養育者の発する音声を収集した。日本語圏の月齢3ヶ月から3歳までの音声データに関しては、貴重なデータが音声データベースに蓄積されてはいるが、横断的なデータが多いため、縦断的なデータを増やしている。
日本語圏の乳幼児音声月齢3ヶ月から36ヶ月(男児2名、女児1名)は、成人音声、チンパンジーの音声データとともに分析を行った。成人音声・乳幼児音声・チンパンジーの音声を24周波数帯域に分割し、各帯域におけるパワー変動から帯域間の相関係数行列を算出した。行列間のユークリッド距離を求めて非類似度行列とし、多次元尺度構成法で刺激布置を求めた。その結果、乳幼児の月齢が上がるにつれて成人音声のデータに近づく傾向が得られた。乳幼児の声道構造は、形・大きさともに発達して大人の声道構造に近づいていくが、これが音声にも反映されていることが、音声分析の結果より示唆された。
日本語圏と英語圏の乳幼児月齢24ヶ月と養育者との間の会話の分析を行った。乳幼児または養育者の聞き手としての応答発話、特に「うなずき」「繰り返し」に焦点を当てて会話分析を行った。その結果、養育者の聞き手としての「相槌」「繰り返し」の総頻度は、言語間において差は見られなかった。日本語圏の養育者は、英語圏の養育者に比べて、乳幼児の発話内容を繰り返すことが多かった。また両言語において、本研究の乳幼児は、2語文を発する言語発達段階であったが、「相槌」「繰り返し」はほとんど見られず、聞き手としての応答発話はまだ獲得していないことが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

日本語圏の乳幼児の音声データに関しては、5名の音声データを追加し、予定通り収集できている。しかし、英語圏の乳幼児の音声データに関しては、申請者およびシドニー大学所属の研究員が、シドニー工科大学、およびニュー・サウス・ウェールズ大学付属の託児所を訪問することができておらず、収集できていない。
また、平成28年度以降に日本語環境に育ち英語の早期教育を希望する3歳から5歳の幼児のいる家庭を募り、効果の確認されている方法で、一年の英語教育を行う計画を立てていたが、実施できていない。

今後の研究の推進方策

日本語圏の乳幼児および英語圏の乳幼児とその養育者との会話における時間構造(例えばポーズや発話時間)、語彙、文構築力を統合的に分析する。
日本語環境に育ち英語の早期教育を希望する3歳から5歳の幼児のいる家庭を募り、効果の確認されている方法で、一年の英語教育を行う予定にしていたが、英語教育の実施が難しい。そのため日本語環境で育つ乳幼児や英語と日本語のバイリンガルの乳幼児を対象に養育者による絵本の読み聞かせを用いた実験を行うように変更する。養育者の絵本の読み聞かせ音声における音声的特徴(例えばポーズ、ピッチや発話時間長)を分析する。また、養育者と乳幼児との絵本の内容についての会話音声における語彙の種類や品詞の頻度、また養育者の質問方法などについて分析する。英語と日本語のバイリンガルの乳幼児とその養育者との音声データに関しては、言語間の相違点を分析する。

次年度使用額が生じた理由

2016年9月より産休・育休のため補助事業を中断したため、当該年度の支出がなかったため、次年度利用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

・実験で利用する音声を日本語圏・英語圏の各家庭や保育所等で収録するため、旅費が必要である。乳幼児音声データの収録は、各家庭で養育者によって行われるため、謝金が必要である。また、収録した音声の書き起こし作業を行う研究協力者への謝金も必要である。
・音声を分析するためのプログラムを作成するため、音声編集に特化したソフトウェアを購入しなければならない。そのため、消耗品として計上する。
・研究結果は、言語教育、知覚心理学、音声学などの分野における国際的に評価の高い雑誌に論文を投稿、学会で発表する予定であるので、学会費用ならびに雑誌掲載費が必要である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 霊長類音声の類似度比較:スペクトル変化の分析2017

    • 著者名/発表者名
      杉野強、平松千尋、山下友子、上田和夫、中島祥好
    • 学会等名
      プリマーテス研究会
    • 発表場所
      日本モンキーセンター
    • 年月日
      2017-01-28 – 2017-01-29

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公開日: 2018-01-16  

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