今後の研究の推進方策 |
H28年度はじめは、残された課題である前置詞の形態統語的な複雑さと習得の関係について調査を行う。前置詞の統語的なステータスについては、全て機能範疇であるとする立場(Baker, 2003; Svenonius, 2010)―強い統語論仮説―と形態的に単純な前置詞(in, at, on)は機能範疇で、複雑な前置詞(onto, in front of) は語彙的範疇とする立場(Dechaine, 2005; Cinque, 2010)―弱い統語論仮説―がある。第2言語習得において、学習者が形態と意味との関係に敏感であるかを検証するため、形態的に単純な前置詞と複雑な前置詞両方を含んだ認知および産出タスクを行う。 また、今年度はプロジェクトの最終年度にあたるため、前置詞の形態統語論的、意味論的な複雑性さらには統語論的な随意性と習得との関係について3年間の研究で解明してきた事項をまとめ、国内外の学会で発表を行うとともに、ジャーナル等に積極的に論文を投稿して、本プロジェクトを締めくくる。
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