本研究の目的は、 (1)語彙アクセスの困難性と学習者の習熟度が各種言語処理効率(意味・統語・語用論)にいかに影響するのか、さらに (2)ワーキングメモリ(Working Memory:WM)容量の個人差がフィラー・ギャップ文処理にいかに影響するのか、フィラー・ギャップ間の距離という観点から調査することである。主な結果は、(1)語彙アクセスにかかる負荷が下がると、各種言語処理が容易になること、習熟度が高い学習者は言語処理の種類に関わらず処理効率が良いこと、さらに、(2) フィラー・ギャップ間の距離が長くなると、特にWM小群において言語処理効率(正解率・処理時間)が下がる傾向が見られた。
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