“Kate washed the car carefully. But John didn’t.” に例示される非顕在要素を含む構文を解釈することに、困難を覚える学習者は少なくない。本研究では、特に第二文目に正しい解釈を付与できるようにするための効果的指導法を、学習者の母語に照らして開発することを目的とする。より具体的には、A 非顕在要素がもつ解釈は、どのような言語理論上のもと付与されるのか、B 学習者が起こす誤りの原因は、転移によるものか、有標性の理論によるものか、C 学習段階により誤りを起こす原因は異なるのか、の3つの課題に答えることで、D 英語における要素を含む構文の効果的指導法を開発することを目的としている。 効果的指導法がより効果的になるためには、学習者自身が当該指導法を受け入れ、実行するための、学習者自身の学ぶ意欲も必要である。最終年度である2018(平成30)年度は、学習者の学ぶ意欲をより引き出すことを念頭に、研究を遂行した。まず、課題A・B・Cに取り組むことにより得られた成果をもとに、英語そのものの仕組みについて教授した。その際、学習者の母語との比較をできる限り行った。さらにはこのような、英語学的・言語学的視点を取り入れた英語教育が、社会貢献へと繋がる実例を紹介した。このことは、これまであまり示されてこなかった、大学での英語教育と実社会との繋がりを提示したことになった。以上の取り組みにより、学生の学ぶ意欲を高めるきっかけを作ることになった。 上述した教授法による効果を数値化する先行研究はこれまでほぼなかったが、本研究において発表した論文では、上記にあげた一連の教授法による効果を数値を用いて示し、より明示化した。
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