研究実績の概要 |
平成26年度は、中学校の教科書全点、高等学校のコミュニケーション英語I・II、英語表現I・IIの多くを電子化した。英英辞典の定義・用例テキストデータについては、Cambridge Advanced Learner's Dictionary, Fourth Editionのデータを追加整備した。 平成27年度は、本年度より使用が開始された高等学校用のコミュニケーション英語IIIの主要なものを電子化した。学習者コーパスとしては、ICNALE(書き言葉)とNICT JLE Corpus(話し言葉)を対象とし、前処理を含めてデータの整備を概ね完了した。 平成28年度は、各種言語資源データにおける句動詞の頻度集計を行い、各データにおける句動詞の頻度を明らかにした。この結果に基づき、学習者のモデル・インプット・アウトプットを基にし、母語話者の使用頻度と認知度が高い項目と、頻度にかかわらず学習者が習得すべき項目を含む、特に初中級の日本人英語学習者向け重要句動詞リストを作成した。学習者がうまく使えていない句動詞を明らかにするという教育上の配慮を含む点がこの句動詞リストの大きな特徴である。この情報をうまく利用することで、学習者のコミュニケーション力向上に資することが期待される。 今後の研究の展開としては、本研究で英語表現の教科書の電子化に際して行った技能タグ付与を、コミュニケーション英語の教科書においても行い、他のコーパスもタイプ別により詳細に検討することで、技能別の必須句動詞リスト(例えば読んで意味が分かればよい句動詞や使いこなせるようになるべき句動詞など)が得られる可能性がある。また、単語や文法項目に加えて句動詞も考慮することで、テキストの難易度をより高い精度で測定することが可能になると考えられる。
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