研究課題/領域番号 |
26770206
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
筒井 英一郎 北九州市立大学, 基盤教育センターひびきの分室, 准教授 (20386733)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | blended learning / e-learning / intelligibility / web app |
研究実績の概要 |
本年度のシステム開発は、スピーチおよびプレゼンテーションの分野にシフトした。本年度は、日本人英語学習者の「話し手」サンプルを、予定の100から250に増やし、他者紹介のタスクをシステムに加えた。録音の同意書や習熟度テスト得点の提出が得られなかった学習者および外れ値(CEFR B1以上と推定される学習者)の「話し手」は分析から除外し、238名(CEFR A1-A2と推定される学習者)の特徴量を本年度は採用した。話し手を評価する「聞き手」は、B1-B2レベルの日本人英語学習者が担い、評定とディクテーションを依頼した。学習者間の評価だけでなく、学習者の発話・発音のどこに問題点があるかを抽出するためである。 本研究では、学習者が、自己内省することができるよう、ICTを利用したり、他者との協力を得たりすることで、学習者自らが算出可能なスピーチ能力指標を扱った。例えば、「複雑性」の指標として、高頻度単語の占有率や読みやすさを、「正確性」の指標として、「聞き手」によるディクテーションとルーブリックを利用した主観的評定値を、「流暢さ」の指標としてWPMなどを使用した。これらの指標を学習者自らが扱う事で、自分の発話を可視化できる。 「話し手」×「聞き手」サンプルから得られた学習者を評定により分類を試みたところ、6分割が一番当てはまりが良かった。そこから導き出された段階的目標値を算出し、各レベルのプロファイリングを行った。これにより、本システムが学習者に自主的なスピーチ練習の機会を与え、自己診断としても、ピアレビューの際にも使用できる可能性が示唆される。 本年度の研究経過報告は、環太平洋応用言語学会で行い、システム運用に関する議論を深める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定のスピーキングタスク数は減らしたが、人数を予定人数の倍以上に増やして信頼性を保持した。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の所属が変わったことにより、ややプロジェクトの変更を伴うが、申請の際より大幅な変更点はない。今後、以下5つの事を柱に、プロジェクトを展開する。 1.本プロジェクトのシステムに関して包括的な評価を試みる。本システムユーザ(学習者)に使用させ、顕著な英語力が向上したグループと英語力がさほど向上しなかったグループのプロファイリングを行い、本システムはどのような学生と相性が良いかを検証する。 2.スマートフォンやpadからもアクセス可能なMoodleサーバを立ち上げ、セルフアクセス教材を充実させる。アドバイス文とリンクさせ、学生が自主的にコースを受講できるような仕組みにし、アセスメントと学習をより密接な関係にする。 3.学生に対するシステム使用マニュアルを作成する。3年間学生にシステムを使用させてみて、技術的に困難であったところを重点的に説明するようにして、よりユーザーフレンドリーなシステム作りに努める。 4.教員をターゲットにしたシステム使用手引きを作成する。同僚の英語教員に研究協力を依頼し、システムの一部を実際に現場で使用してもらい、その使用感、学生の反応などの意見を集約したうえで、マニュアル作りに役立てたい。 5.成果報告を、環太平洋応用言語学会などで実施する。
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