研究課題/領域番号 |
26770215
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
高山 慶子 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (90566522)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大伝馬町 / 馬込家 / 宇都宮藩 / 戸田家 / 江戸 / 川村伝左衛門 / 養蚕製糸 / 栃木 |
研究実績の概要 |
本研究は、大名の宇都宮藩戸田家と江戸町名主の馬込家が幕末維新期をいかに生きたのかを、両者の社会的・経済的な関係に着目して検証し、明治維新史の一断面を新たな視点で明らかにしようとするものである。 本年度は、1.馬込家と戸田家の関係分析、2.周辺資料の調査分析、3.明治維新史の再構築、という3点に重点を置いて研究を行った。1については、おもに明治以降の馬込家文書の読解を進め、馬込家は戸田家との関係を維持しながら、栃木県内において養蚕製糸に取り組んだだけではなく、大谷石の東京移送や綿糸紡績など、さまざまな事業に挑戦したことが明らかになった。2については、馬込家とともに宇都宮藩戸田家の財政を支えた江戸の豪商川村伝左衛門の調査を行い、江戸期の川村伝左衛門と宇都宮藩戸田家・名主馬込家との関係や、明治期の川村迂叟(伝左衛門の号)による近代製糸工場(大嶹商舎)と馬込家による養蚕製糸との比較検討を行うことができた。3については、これまでの経済・金融関係の文献のほか、殖産興業に関する文献の収集・読み込みを進めた。 以上の分析結果は、本研究の目的である、新たな明治維新史の一断面を明らかにする上で、重要な知見であると考える。3年間の研究期間の中間年度として、本年度は充実した成果をあげることができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、1.馬込家と戸田家の関係分析、2.周辺資料の調査、3.明治維新史の再構築、という3点に重点を置いて研究を進めた。1については明治初期の馬込家による栃木県での活動実態について史料収集を行うことができ、2については馬込家とともに宇都宮藩戸田家の財政を支えた江戸の豪商川村家の調査を実施することができた。 また、3については、豪商の川村家と名主の馬込家が明治初期の栃木県で養蚕製糸に取り組み、馬込家はその他に大谷石の東京移送など、殖産興業にかかわる多様な事業にかかわったことから、これまでの経済・金融関係の文献のほか、殖産興業に関する文献の収集・読み込みを進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究の最終年度にあたる。馬込家文書や戸田家文書をはじめとして、豪商川村家や明治初期の栃木県の史料など、これまでに収集・解読してきた古文書の分析の成果を、馬込家を中心にすえて総括する。そのなかで、名主の馬込家と大名の戸田家との関係を、江戸から明治への変化に着目して検証することで、本研究の目的である明治維新史の新たな側面を提示したい。 以上の研究の総括を行うため、次年度は論文・著書の執筆を中心に研究を推進し、その過程で新たに生じる史料・文献の補助的な調査や、本研究テーマに関連する学会・研究会への出席を積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は若干の残余額が生じているが、誤差の範囲内と考えている。前年度からの繰越額などを考慮に入れると、ほぼ満額使用できている。次年度は下記の通り経費の内訳の調整が必要となる可能性があるが、適切に使用していきたい。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、前半に史料・文献の調査・収集や学会・研究会への参加を積極的に行い、旅費を早めに使用する。分析の進展にともない調査対象が広がり、計画当初よりも旅費が多くかかる可能性があるので、物品費やその他の経費を調整することで、適切に使用したい。
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備考 |
※本年度の成果である雑誌論文は、宇都宮大学学術情報リポジトリ(UU-AIR)に掲載予定であるが、現時点では未掲載。
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