研究課題/領域番号 |
26770223
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
池田 勇太 山口大学, 人文学部, 准教授 (30647714)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 元田永孚 / 熊本実学党 / 儒教 / 明治国家 / 中村恕斎 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、(1)元田永孚に関する史料情報の調査とその公開、(2)明治国家と儒教に関する論考の発表、(3)周辺史料の調査と解読、を進めた。 (1)元田永孚に関係する史料の所在把握とその確認を実施し、平成28年3月に、その成果を雑誌『日本歴史』(吉川弘文館)に投稿した。国立国会図書館憲政資料室に新たに収蔵された史料や、宮内公文書館所蔵史料、熊本県所在の史料等についての情報を整理して示すことができた。以上は、これまで元田永孚に関する史料情報の記述では触れられてこなかったものであり、これによって元田永孚に関する研究の状況は進展すると考えられる。 (2)雑誌『歴史と地理 日本史の研究』252号に、「明治国家と儒教」という論考を掲載した。明治維新・明治国家形成過程と儒教との関係や、国教化の試みとその後の展開等を論じ、元田永孚の関わりも述べている。これは当初掲げた研究目的のうち、明治期の元田永孚の国体観に関する研究の一環である。 (3)周辺史料のうち、元田永孚に関する史料では、国立国会図書館憲政資料室の新規収蔵史料や、熊本県立図書館所蔵史料、宮内公文書館所蔵史料などを調査した。特に宮内公文書館が所蔵する佐々木高行の史料には明治期の書翰が多く見出された。元田が属していた熊本実学党関係の史料では、熊本大学附属図書館にある横井小楠文書をはじめ、熊本県立図書館が所蔵する長岡監物・荻昌国の史料を閲覧・複写した。また幕末維新期の熊本藩政に関する史料を、中村恕斎日録を中心に調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度は前年度に閉鎖していた熊本県立図書館が開館したことから、史料調査を進めることができた。史料調査によって得られた成果を文章化し、また論考の発表もできた。もっとも、熊本での史料調査が多かった半面、東京大学史料編纂所の史料については十分な調査が進まず、課題が残った。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は9月に学会の例会での研究報告を予定していることから、それに向けて調査・研究を進めるとともに、研究報告後に論文執筆を行うつもりである。また、課題として残った史料調査として、東京大学史料編纂所等での調査や、熊本大学附属図書館に新たに収蔵された史料調査も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査先における文献複写が、当初予定していたコピーやマイクロフィルム複写よりも、デジタルカメラによる撮影が多かったため。
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次年度使用額の使用計画 |
書籍購入に充てる予定。
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