本研究は、中世・近世の種子島およびその領主であった種子島氏と他地域との交流を明らかにすることで、日本の歴史における種子島の位置づけを考察するものである。本研究の主な研究成果としては、種子島と琉球との交流の一端を示した点にある。近世の薩摩藩において琉球との交渉を担当する立場に種子島家当主が就いていたという政治的な状況に加え、薩摩・琉球間を往来する船に種子島船が使用されていたという流通面での状況、琉球の漂着船が着きやすいという地理的状況が背景にあり、「鎖国」下で海外との交流が限定されていた近世日本において、種子島は比較的多く「異国」琉球との交流が確認される地であった。
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