本研究は、1930 年代の内務官僚の構想による「職業紹介行政」の展開過程、大都市部と地方農村部の地域社会への影響の実態の枠組みを明らかにした。この作業は職業紹介事業が戦時労働力政策において重要な役割を果たした職業紹介所の機能を提示し、戦時期日本の労働政策を再照射するものである。 本研究では次の二点を検討した。第一は「職業紹介行政」の展開に係わる内務省内の政策判断について、第二は1930年代から1940年代の「職業紹介行政」の地域的展開の実態についてである。この研究結果から、内務省による数々の法案と地域社会における地道な活動が、国家総動員体制を準備する大きな背景となっていたことが明確化された。
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