研究課題/領域番号 |
26770232
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
手嶋 泰伸 福井工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (20707517)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 平沼騏一郎 / 日本政治 / 右翼 / 終戦 / 軍部 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまで単なる右翼政治家としてしかみられてこず、体系的な分析が行われてこなかった平沼騏一郎に注目し、平沼の政治家としての活動時期全体の分析を行うことで、国粋主義的な言動にもかかわらず、大物政治家とみられ続けた理由と、政治的マイナスイメージが定着した要因の両方を明らかにしようとするものである。それによって、それら2つの要素を統一的に解釈し、政治家としての平沼を再評価する過程で、近代日本全体が意識した政治課題を把握するとともに、近代日本の政治の水準を解明して、近代日本政治史研究を深化させることを本研究は目的としている。 その研究目的を達成するために、平成26年度においては、平成27年度以降の調査に活用する刊行史料の基盤データベースを作成するとともに、戦時期の平沼騏一郎の分析を行う予定となっていた。 前者の基盤データベース作成のため、国立国会図書館等で資料収集を行い、収拾した資料を打ち込み作業のアルバイトを雇用しつつ、予定通り作成した。平成27年度以降は、このデータベースを用いて、効率的に平沼の言動を分析していくことが出来るようになった。 後者の戦時期の平沼騏一郎の具体的な分析によって、史料上に現れるその曖昧な態度の要因が彼の政治スタンスが影響した発言の特徴にあることが判明し、終戦期の平沼から当該時期の政治構造の新たな問題を指摘することに成功した。その成果は口頭発表を行うとともに、現在論文として刊行する準備を進めている。 また、平成27年に行う予定であった、ロンドン海軍軍縮条約期の平沼についても、研究に着手することが出来た。国立国会図書館憲政資料室で倉富勇三郎文書を、東京都立図書館で雑誌『国本』の収集をそれぞれ行っており、平成27年度以降は分析を行うことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度においては、刊行史料を網羅的に収集しての基盤データベースの作成と、戦時期の平沼騏一郎の具体的な分析までを行う予定であったが、平成27年度に着手する予定であったロンドン海軍軍縮条約期の検討も開始することが出来、史資料の収集を終え、分析のみを残す状態となっているため、本研究は平成26年度において、当初の計画以上に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は当初の予定通り、①「1930年のロンドン海軍軍縮問題」、②「1930年代後半の枢密院議長時代」、③「1939年の内閣総理大臣」の3つのテーマについて研究を行う。基本的には平成26年度中に作成した基盤データベースをもとに平沼の政治的言動を把握していくとともに、国立国会図書館憲政資料室をはじめとした史料保存機関で未刊行文書の調査を行う。 ただし、①については平成26年度中に予定していた調査をほぼ終えているので、速やかに分析に入り、それによって生じた時間的な余剰は②と③の調査に投下するものとする。 また、平成26年度に分析を終え、口頭発表を行った戦時期の平沼騏一郎については、平成27年度中に査読のある学術雑誌に投稿することを目指す。
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