研究課題/領域番号 |
26770232
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
手嶋 泰伸 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 助教 (20707517)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 平沼喜一郎 / 日本政治 / 右翼 / 終戦 / 軍部 |
研究実績の概要 |
本年度は事前の研究計画に基づいて、1930年代の平沼騏一郎の政治的な言動について、その実態や背景を分析する予定であった。 その結果として、1930年代の平沼は分立的統治構造の弊害を克服することを目指していた一方で、彼は天皇以上の強力な権力が発生することを防ぐために、機構改革等には非常に消極であり、人的力量による改善を重視していたことを見出すことが出来た。この成果については、現在論文として公表するため、準備を進めている。 なお、1930年代の特に中期における平沼の政治的言動や統治構造観についても分析を行ったが、これについては1920年代のものと比較をしなければその特徴を抽出することが困難であることが判明したため、引き続き1920年代の調査を行う予定であった平成28年度においても検討を継続する。 また、昨年度に行った、終戦期の平沼騏一郎についての成果については、論文として投稿し、採用されるに至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度においては、1930年代の平沼騏一郎について分析する予定であって、その調査と検討は予定通りになされており、成果の一部は研究成果の公開を行った。また、それ以外の成果については平成28年度中の公開を目指して準備中である。 それと同時に、1920年代の平沼について、平成28年度中にその予備的調査を行う予定であったが、こちらについては2013年以降、研究開始時には予測出来なかった複数の研究が発表された。1930年代を分析する過程で、当該時期の平沼の政治思想については、1920年代のものと合わせて理解する必要を感じていたこともあり、現在のところ研究の進捗状況に遅れはないものの、今後の調査計画の一部修正が必要となったほか、新たな分析対象も浮上してきたため、進捗状況は「(2)おおむね順調に進捗している」と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度中にスタンフォード大学フーバー研究所で平沼騏一郎コレクションの調査を行い、それに基づいて1920年代の平沼について分析を行う予定であったが、上述したように、先行研究が予想される結果を発表してしまったこと、また1930年代の分析の結果として得られた一部の成果については、1920年代のものと総合して理解をする必要が出てきたことを踏まえて、研究推進方策を一部変更する必要がある。 具体的には、1920年代の平沼を分析するにあたり、上記先行研究では分析のされなかった平沼が執筆した書籍・論文・記事を収集し、それを1930年代のものとともに理解をしていく。これについては既に平成27年度中に一部収集を行っており、残りの調査・分析を平成28年度中に行う。調査場所は国内の複数の史料保存期間を予定しており、海外調査を行う予定であった予算の一部を用い、国内の調査場所や調査回数を増やしていく。
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