本研究では、平沼騏一郎の言動を諸史料の悉皆的調査によって収集、検討することによって、政治家としての平沼の特徴について、以下の3点を明らかにした。 即ち、①平沼は政治家としてのキャリアのほぼ全期間において、分立的統治構造を克服しようとする際には機構改編よりも人的力量でもってそれを行うことを重視していたこと。②平沼は周囲の政治家とある程度共有し得る課題意識を保持していたからこそ大物政治家であり続けられたこと。③それでも平沼が右翼的な陰謀家とみられたのは、彼が複数の局面を想定し、それへの対応を漏れなく話そうとしていたためであること。
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