研究課題/領域番号 |
26770234
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
丸島 和洋 国文学研究資料館, 研究部, 特任助教 (10599640)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歴史資料の情報資源化 / 徴古雑抄 / 日本古代史料 / 日本中世史料 / 日本近世史料 / 古文書目録化 |
研究実績の概要 |
本研究の一義的な目的は、国文学研究資料館所蔵『徴古雑抄』190冊の収録文書の目録化である。したがって国文学研究資料館において、『徴古雑抄』を熟覧し、収録文書1点ごとの目録作成を進めた。 前年度目録化を終えたのは38冊、5566点の文書にとどまった。また阿波国分については、活字史料集が存在するため、迅速に作業が行えると見通していたが、作業を行った結果、活字化されているのはごく一部にとどまることがわかった。 この反省を活かし、昨年同様アルバイトを3人依頼し、前年同様ひとりが1冊を調査する形で作業を進めた。費用の差分は、調査費の削減によって充てた。これにより、予定延べ日数64人日に対し、倍を超える130人日となった。結果として、本年度は新たに125冊の調査を終え、9293点の収録文書の目録作成を進めることができた。 『徴古雑抄』に古文書が採録されている国のうち、いくつかの場所を訪問し、現地調査を行った。H27年度は、陸奥国(福島県)・甲斐国(山梨県)・信濃国(長野県)を調査した。当初は紀伊国(和歌山県)・大和国(奈良県)・安芸国(広島県)・肥前国(長崎県)を予定していたが、多くの古文書の写真帳・写本を収蔵している東京大学史料編纂所における調査で代替できたため、これらについては現地調査を見送った。これにより、『徴古雑抄』の成立過程について考察する準備は進展をみている。 なお当初予定していた通り、『徴古雑抄』所収文書の一部が翻刻収録されている『阿波国微古雑抄 正続』を2部購入し、膨大な分量を占める阿波国の文書目録作成の迅速化を図った。また参考文献として、『大日本史料』を一部購入し、目録作成に活かした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年よりアルバイト日数を増やしたため、全190冊のうち、2年間で合計163冊、文書点数14,953点の目録編制作業を終えることができた。しかし予定では目録作成は本年度で完了するものであったため、やや作業に遅れがみられるといえる。この原因のひとつには、先述したように『阿波国微古雑抄 正続』として活字化されている阿波国分が、全文翻刻ではなく、抽出翻刻であることを見落としていたことが挙げられる。しかし残り冊数は27冊であり、最終年度たる平成28年度において作業を終える見通しはたった。 調査先については、予定を大幅に変更した。これはアルバイトへの謝金に割り振ったこともあるが、関連研究において現地調査の代替ができたことによる。したがって、現地調査については、順調に進捗しているといえる。ただ一部、史料所蔵者と日程調整がつかなかったため、調査を見送ったものがある。
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今後の研究の推進方策 |
目録作成は本年度で終える予定であったが、27冊が残る結果となった。しかし190冊中の163冊の作業を終えており、アルバイト作業日数と、研究代表者自身の担当分を増やすことで、十分対応が可能である。 あわせて、継続して『徴古雑抄』がどのように編纂されたのかを明らかにするため、各地の古文書調査を進めていく。なおこの中には、昨年度実施を予定していたものの、史料所蔵者との日程調整がつかなかったものも含まれるが、アルバイトへの依頼を優先するため、都内所在の所蔵機関の写本調査で代替できる場合は、可能な限りそれで済ませる。 本科研の成果は、DVD-Rによる研究者への配布と、インターネットデータベースへの搭載で行う予定である。本作業は研究代表者自身の専門分野に属すため、研究代表者自身が作業することで人件費の圧縮を図る。 インターネットデータベースへの搭載には、収蔵機関との調整が必要となるが、『徴古雑抄』書写文書の総目録を完成させ、DVD-Rにより研究者に配布するという本科研の目的そのものは、新年度で達成する見通しがついており、問題なく作業を終えることができると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた調査を削減し、アルバイト日数を増やしたため、支出計画の再検討が必要となった。この過程で、アルバイトの欠勤などが生じ、小額ながら計算に狂いが生じた。ただし、2万円弱に留まっており、問題のあるものではないと考える。
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次年度使用額の使用計画 |
アルバイト謝金に充てる予定である。
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