2015年度は、まず研究図書・文献、刊行史料集などの収集を昨年度に引き続いて進め、17世紀の東福門院和子と付属の幕臣団、およびそれと比較対照しうる領主階級上位の婚姻関係と付属家臣団について、法度・事件レベルではあるが、研究・史料を収集することができた。また京都を中心に、史料所蔵機関において調査・史料収集を進めた。特に朝廷・公家の御用商人、貸借関係をもつものなど、朝廷と商人資本の関わりについて様々な史料を収集することができた。具体的には、船屋太兵衛家文書(指物師、禁裏御用、京都府立総合資料館蔵)、千吉西村家文書(法衣商、有栖川宮家御用達、同館蔵)、松田家文書(茶商、禁裏御所御用、同館蔵)、市川家文書(蝋燭商、摂家近衛家出入、同館蔵)、上下京惣紅屋仲間文書(禁裏献上呉服染色関係、同館蔵)、富永家文書(呉服、岩倉家出入、同館蔵)、土山家文書(近衛府地下官人、同館蔵)、前川家文書(米商人、禁裏掛屋、仏教大学図書館)、などである。残念ながら、17世紀に作成された原史料は少数にとどまったが、17世紀以来の関係を示す史料などを収集することができた。付随する成果として、京都の大商人三井家と、幕府高官や将軍縁戚の朝廷関係者との、17世紀末から18世紀前期にかけての金融上の結びつきを解明した研究論文を執筆した(刊行物の分担執筆箇所として発表)。
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